顕正会入信

新横浜に着いた私は指定された駅前の喫茶店に入りました。

店内をグルッと見渡すとお客さまであるご婦人の姿がすぐに確認できました…、

が!その横に見知らぬご婦人がもう一人…、

「たぶんこの方とのお約束があったためにわざわざ新横浜まで来てくれと言ったんだろう。私の方はすぐにハンコだけ貰って事務所に戻ろう。」

と瞬時に判断してそのテーブルへと足を進めました。

「昨日はありがとうございました。お忙しい中をお邪魔しまして大変恐縮です。私の方は書類だけ記入いただければすぐに帰りますので、ちょっとだけお時間を頂きますね。」

といっておもむろに契約書をカバンから取り出したところ、

「そっちの方は後で書きますから、まずはこちらのお話を聴いて下さる?」

とお客様は申されて隣に座っていたご婦人にうながされました…。

不動産取引に少しばかり詳しい知人が首を突っ込んでくるのかな?と思った私はそのまま静かに話を聞きました。

すると話は地震や幸不幸、十界などの話になり、果ては国立戒壇だとか御遺命破壊だとか耳慣れない言葉のオンパレードになり…、そこで私はフッと気づいたのです…。

「もしかして、オレ…、宗教勧誘されてんじゃない?」

とりあえず平静さは取り繕いながらも頭の中はフル回転でした…。

出川のてっちゃんではありませんが、

「ヤバイよ、ヤバイよ、ヤバイよ…。」

と頭の中はパニックになり、このまま自分は全てを宗教団体に吸い取られ、家庭は崩壊し、今後の人生は見るも無残な姿になり果てるのではないか?との想いが強く心の中を占めていきました。

その一方で、このまま席を立って契約書に判子をもらわずに事務所に帰ったら所長がどんな反応を示すだろうかとの思いもまた浮かんできました。

「ただいま帰りました…。」

「おぅ!ハンコは貰ってきたか?」

「いえ、先方様は宗教勧誘してきたのでそのまま帰ってきました…。」

「与太郎君…、このお客様の取引が全て完了したら会社はいくらの利益になるかは分かってますよね…。仲介手数料は850万ですよね…。」

「あなたの人生と850万、どちらが重いか分かりますか♡」

「…、850万です…。」

「そうですよね♪」

「分かってんだったら、早くハンコ貰ってこんかい!!!!!」

となるのは目に見えてましたので、非常に悩んだわけです…。

けっきょく腹を決め、

契約書に判子をゲットするまでは全て先方様の言うとおりにすることにしました。

話を一通り聞き終え、誘われるままに横浜事務所に同行し、入信報告書に記名捺印したうえで参詣室の本物と思われる日寛上人御形木御本尊の前に座り、訳も分からぬまま読経唱題し…、

はれて顕正会員となってしまったのでした。(-_-;)

今から24年前の夏の出来事でした…。

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